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子犬・子猫の健康診断

2024.7.26
ブログ

はじめに:子犬・子猫をお迎えしたら

千葉市、四街道市にお住いのみなさま、ブログを楽しみにしてくださっているみなさま、こんにちは。

家族として新しく子犬・子猫を迎えようとしたとき、以前はペットショップから購入するケースがほとんどでした。しかし、現在ではそうした出会いの場はペットショップだけに留まらず、ブリーダーから直接購入したり、保護施設から譲り受けるなど多種多様となっています。

そうした、様々なバックグラウンドを持つ動物の場合、お家に来る以前の飼育環境や予防歴の有無などはっきりしないケースも多いかと思います。また、ペットショップやブリーダーからという場合でも、多くの子犬を集団で飼育している施設ではどうしても感染症が蔓延しやすく、完全に防除することは難しいかと思います。

そんな時に有効なのが、動物病院で行う健康診断です。

健康診断というと、どうしても血液検査などの検査を思い浮かべてしまい、子犬・子猫にそんなことをして大丈夫?と思われるかもしれませんが、実際には動物に大きな負担をかけずに出来る検査も多々あり、そこから多くの情報を得ることが出来ます。

(もちろん、血液検査などの検査が必要なケースもありますが…)

お家にお迎えして新しい環境に慣れてきたら(これが結構大事なポイントです)ぜひ一度健康診断を受けて欲しいという思いから、今回は子犬・子猫で行う健康診断やそこから分かる病気についてお話ししたいと思います。

身体検査

まずは身体検査からお話していきたいと思います。

「体の状態を外から見るだけでしょ?」と侮るなかれ!

実はここからたくさんのことが分かります。

身体検査では、体重測定・体温測定・視診・触診・聴診を行っていきます。

・体重測定

子犬・子猫の時は、測るたびに体重は増加していくため、定期的に計測することが重要です。

・体温測定

犬・猫の体温は、一般的に38~39℃ですが、子犬・子猫の場合、体温調整がうまく出来ず、低体温になっていることもあります。

・聴診

心音や肺音の確認を行い、心雑音の有無や肺や気道音の異常がないかを確認します。

・視診

*耳:耳垢の有無(耳ダニや雑菌の確認)、赤みや傷など

*眼:目ヤニ、充血、涙など

*鼻:鼻水の有無、鼻づまりなど

*口:口蓋裂(こうがいれつ)の有無、嚙み合わせや、乳歯・永久歯の生え変わりの確認など

*皮膚:脱毛、フケ、赤み、外部寄生虫(ノミ・マダニ)の存在確認など、

・触診

脱水の有無、骨格、生殖器(停留睾丸の確認)など、全身を触ってチェックしていきます。

身体のすみずみまでチェック!              もちろん聴診もしっかりと!

検便

検便では、腸内細菌のバランスや寄生虫の感染がないかを確認します。

下痢や軟便の症状を呈することが多いですが、一見良便でも寄生虫が見られることがあり、特に子犬・子猫で

は、コクシジウム、トリコモナス、ジアルジア、回虫などの寄生虫が見られることがあります。

便の量は親指の先くらいあれば十分です。時間は15分ほどで結果がでます。

下痢の場合、十分な量を持参出来ないこともあると思いますが、便の状態把握にもなるのでご持参ください。

出来る限り新鮮な便が望ましいですが、前日の便でも検査可能です。

いずれも検便で見つかった寄生虫の卵

子犬・子猫の病気

若齢の子は免疫力が未発達で感染症にかかりやすく、体調を崩しやすいです。

食欲や活動性の有無は健康の大事なバロメーターになります。

普段から様子をよく観察してもらい、いつもと変わった様子がないかチェックしてみてください。

・元気や食欲

環境の変化で元気や食欲の低下が見られることもありますが、子犬・子猫の場合、十分に食餌が取れていないとふらつきや元気が消失する低血糖を起こすこともあります。

遊びに夢中になってしまう、フードが好みではないなど、食べない理由も様々ではあります。気になる場合は受診をおすすめします。

*咳やくしゃみ/目ヤニや鼻の分泌:感染性、呼吸器疾患

子犬の咳ではケンネルコフと呼ばれる感染症が有名です。

乾いた咳を特徴とし、重症の場合気管支炎や肺炎に至ることもあるので注意が必要です。

*目ヤニ、鼻水

生理的な範囲でくしゃみをすることもありますが、頻度が多く鼻水や目ヤニも出てるようであれば異常です。

特に猫では、ヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジアなどの感染が原因でくしゃみ、鼻水、目ヤニ、

結膜の充血や腫れが起こります。また、カリシウイルスでは舌や口腔粘膜に潰瘍を引き起こし、上手く採食出

来なくなることもあります。

犬では、ジンステンパーウイルスの感染により、発熱や結膜炎、咳・鼻水などの呼吸器障害や下痢、神経症状

を起こすこともあり、致死率の高い感染症です。

・下痢や嘔吐:消化器系疾患

前述したように内部寄生虫感染に起因することがありますが、犬・猫ともにパルボウイルス感染症の場合、激し

い下痢や嘔吐を起こし、元気や食欲がなくなり衰弱していきます。伝染力が強く、致死率の高い感染症です。

子犬・子猫は消化器官が未発達なので、必ずしも感染症が原因で消化器症状を出すとは限りません。食餌の仕

方・量・タイミング、ストレスなどでも起こりますし、誤食など様々な原因で嘔吐や下痢を呈します。

元気があっても、症状が続いてしまう場合は病院を受診してください。

予防・避妊/去勢手術

健康チェックとともに、今後のワクチン接種のタイミング、フィラリア症、ノミ・マダニ予防についてもお話しします。犬の予防の場合、3回の混合ワクチン、狂犬病接種、フィラリア症予防と初年度は特に忙しいです。予防薬も種類がありますので、どのタイプがやりやすいか一緒に検討していきましょう。

また、避妊・去勢手術の時期、乳歯抜歯などのご相談も承ります。

オス犬・猫の場合、停留睾丸(陰睾)の可能性もあります。停留睾丸とは、精巣が陰嚢という袋にない状態です。精巣は生まれるまではお腹の中にあり、犬の場合4~6週齢で下降すると言われています。生後半年くらいまでは、お腹の中と陰嚢を行き来することもあります。猫の場合、14週齢でも下降がない場合に診断されます。

メス犬・猫の場合、発情中の場合、子宮組織の充血や血管が太くなるため、通常の避妊手術より出血が多くなります。それを考慮し手術のタイミングを相談させていただいています。

乳歯は一般的に7~8か月までには全部抜け、永久歯に生え変わります。しかし小型犬の場合、乳歯が抜けず残ることがあります。今後の歯周病の原因となるので、避妊・去勢手術の際に抜くことをおすすめしています。

避妊・去勢手術をご検討の際は必ず受診をお願いします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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