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去勢手術と避妊手術 必要⁉不必要⁉(前編)

2023.7.3
ブログ

最近、当院でも子猫や子犬を診させていただくことが多くなってきました。

子猫であれば混合ワクチンの接種(計2回)、子犬であれば混合ワクチンの接種(計3回)に加えて狂犬病ワクチンの接種やフィラリア予防のスタートを終えてホッと一息・・・

そのタイミングで僕ら獣医師は次の質問をします。

「去勢手術・避妊手術の実施は考えられていますか?」

この質問に対する答えは飼い主様によって様々ですが、どうすればよいのか分からず悩まれる方も多いのではないかと思います。

今回は、予防の中でもとくに飼い主様が悩まれ、また相談を受けることが多い不妊手術(去勢手術・避妊手術)について取り上げてみたいと思います。

去勢手術・避妊手術はいつから出来るの?

当院では、去勢手術・避妊手術は生後6か月以降の実施をおすすめしています。

理由は「ある程度成長が進んでおり、性成熟が起こる前だから」です。

性成熟とは男の子が男の子らしく、女の子が女の子らしくなること。

この時期が、このあとお話しする「手術で予防できる病気」と深く関係していきます。

もちろん、より早期に手術を実施する事も出来ますが、身体への負担も考慮し、当院では生後6か月以降の実施をおすすめしています。

どんな病気が予防できるの(去勢手術)?

*ほとんどの病気は犬での発生が多いものです

◆精巣腫瘍

単純かもしれませんが、精巣を取ることで精巣の腫瘍を予防することが出来ます。

とくに、精巣がしっかりと陰嚢(袋の部分)に降りずに「皮膚の下(皮下陰睾)」や「お腹の中に残っている(腹腔内陰睾)」場合には腫瘍の発生率は大きくなってしまうので、去勢手術の実施をおすすめします。

◆前立腺過形成

膀胱の後ろにある男の子特有の臓器である前立腺が腫れてしまい、血尿などをおこす病気です。

中齢~高齢の犬で発生することが多いです。

予防だけでなく、治療としても去勢手術は有効になります。

◆会陰ヘルニア

肛門周囲の筋肉が萎縮してしまい、脱腸を起こしてしまう病気です。

この病気は雄性ホルモン(男の子のホルモン)と関連があると考えられているため、去勢手術によって予防が期待できる病気です。

◆肛門周囲腺腫

肛門周辺に出来る腫瘤です。

こちらも雄性ホルモンが関係して引き起こされる病気になります。

どんな病気が予防できるの(避妊手術)?

◆子宮蓄膿症

その名の通り、子宮の中に膿が溜まってしまう病気です。

未避妊の中~高齢の犬や猫で発症します。

とくに発情から2か月くらいたっても中々収まる気配がなく元気・食欲がなくなってきた、という時には特に注意が必要です。

◆乳腺腫瘤(腫瘍)

乳腺にできる腫瘍です。

悪性の場合は肺を始めとした全身への転移をおこすため、予防しておきたい病気です。

もちろん、乳腺にできた腫瘤のすべてが悪性(癌)というわけではありませんが、猫ではとくに注意が必要で、発生した腫瘤のほとんどが悪性(癌)と言われています。

予防には避妊手術が有効ですが、初めての発情が来る前に実施するかどうかで予防効果は大きく異なります。

「子供をとりたい」などの事情がなければ、初めての発情が来る前の実施をおすすめします。

他にはどんなメリットがあるの?

◆望まない妊娠の予防

とくに外で飼われている猫ちゃんでは「気付いたら妊娠していた」という事がすくなくありません。

男の子も女の子も、とくに子供をとる予定がない場合は去勢・避妊手術をしてあげましょう。

◆マーキングやマウンティングなどの予防

男の子の去勢手術をおすすめする理由の一つです。

病気の予防よりも、こちらの方が去勢手術のメリットとして大きいかもしれません。

マーキング(おしっこによる臭い付け)やマウンティング(人の足などに組み付く行動)は男の子特有の行動であり、一度覚えてしまうと止めさせることは難しいです。

こういった行動は性成熟とともに発現しやすいため、予防したい場合は手術可能な年齢から出来るだけ早く去勢手術を実施しましょう。

さいごに

今回は去勢・避妊手術で予防できる病気について、簡単ではありますがご説明させていただきました。

ただ、「病気の予防が出来るのは分かったけれど、全身麻酔をかけての手術はやっぱり心配」という方もいらっしゃるのではないかと思います。

次回は、実際にどんなふうに去勢・避妊手術を実施するのかについて書いていこうと思います。

是非、ご覧ください。

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