耳血腫とは?
特に犬において、耳介の内側、皮膚と軟骨の間に血液が貯留してしまう病気です。
垂れ耳でなければ、耳介に血液が溜まり腫大しているのが見て取れます。耳介が折れ曲がってしまうこともあります。
耳が気になって首を振っていたり、掻いたりしている姿を見て飼い主様が気付くこともあるでしょう。
原因は?
外耳炎やアレルギーが関与しているともいわれます(耳が痒い→掻く→軟骨が傷つく)が、原因ははっきりしていません。
垂れ耳の方が耳血腫になりやすい傾向はあるかもしれません。
治療は?
内科的には一般的に抗生剤とステロイド剤で経過を見ることが多いです。
外科的には、耳介に溜まっている血液を除去し、再び溜まらないようにする処置を行います。
<外科処置>
- 注射器で血液を抜く
- 血液を抜いた後に炎症を引かせるためステロイド剤・抗生剤を注入する
- 血種部分に注射針やメス、鋏で切れ込みを入れ、血液が溜まらないようにし圧迫を加える(耳介にガーゼで芯棒を作り巻く方法/耳介を頭蓋部に圧着させる方法)これにより血液が溜まるスペースをなくします。
- 血種部分の血液の漏出と圧迫を同時に担うやり方として、縫合しで刺繡のように細かく縫う方法もあります。ガーゼを巻きなおす手間も省けるので好んでいましたが、最低でも鎮静をかけなければならないというデメリットがあります。
今は販売終了してしまいましたが、イヤーバスターという名称で耳血腫の縫合用スポンジが売られていた時代がありました。その子の耳の大きさに切り抜いて耳に縫い付け圧着するのでとても便利でした。
予防について
予防はなかなか難しいかもしれませんが、定期的な耳のチェックと共に外耳の洗浄を行い、清潔に保ってあげることがよいと思われます。
再発を繰り返したり放置すると本人も不快ですし、耳介が変形してしまうこともあります。
耳血腫を疑ったら、早期の治療をおすすめすることになります。