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肛門嚢切除と爪取り術

2023.12.25
症例紹介

肛門腺とは?

肛門を中心とした4時、8時方向に位置する分泌腺を肛門腺といいます。

よく見ると肛門内側に左右一か所ずつ分泌液を出す穴が確認できます。

余談ですがフェレットという動物がいます。肛門腺が大変臭く、いわゆるスカンクのようなイメージです。

今では、販売されている時点で肛門腺は切除されていますので心配はありませんが、30年くらい前までは未処置のフェレットが普通に販売されていたので、動物病院で肛門腺切除を行うことがしばしばありました。手術中に手袋が破けてしまうと大変なことになったそうですが、幸いにもそのような地獄の経験をせずに今に至ります。

肛門腺のケアと切除

肛門腺の詳しい構造・おうちでの絞り方は当院のブログ「一度はやってみたい爪切りと肛門腺しぼり」

をご覧ください。

さて、わんちゃんの飼い主様はトリミングや病院、自宅で肛門腺絞りを経験したことがあるのではないでしょうか。

猫ちゃんでも行うことがありますが、絞る頻度は圧倒的に少なくほとんどの子が便とともに排泄することができます。

肛門腺はたくさんたまることで痒み、臭い、炎症になれば痛みが出ます。

お家で「いつもよりお尻が生臭い」「お尻歩きや舐めて気にしている」様子が見られたら犬猫問わず肛門腺が溜まっている時の症状です。

肛門腺炎や肛門腺破裂を繰り返してしまう子では、生活の質を上げるため治療の一環として肛門腺切除を行うことがあります。左右ともに切除すれば一生涯絞らなくていいことになります。

爪のケアと切除

抜爪・爪取り手術に関しては狼爪(前足の親指にあたる爪)を取る以外、まず犬でやることは無い手術です。

猫において、性格の厳しい子の被害を極力食い止める手立ての一つとして、家具など家そのものを爪とぎから守るため、基本家猫限定ですが行うことがあります。

この手術は病気と関係なく、飼い主様の生活の質のため行うことがほとんどで、爪切りによる飼い主様と猫ちゃんの負担を考慮しなければ全く必要のない手術になります。

ただ術後の猫ちゃんは爪がなくなっても爪とぎをします。爪がないので肉球で「ぺったぺった」とマッサージをしている様子がかわいらしく見えることもあります。飼い主様は室内を傷つけられる心労から解き放たれ、猫ちゃんも気兼ねなく爪とぎを満喫することができるでしょう。

最後に

日常的にケアするものを「切除」してしまえばケアの負担は少なくなるでしょう。

しかしそれには全身麻酔・手術が必要になり、ペットに大きな負担がかかることになります。

まずはお家でケアできるよう練習されてみてはいかがでしょうか。方法に困ったらトリミングや病院に相談したり、お手入れを任せてみてください。

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