千葉市、四街道市にお住いのみなさま、ブログを楽しみにしてくださっているみなさま、こんにちは。
今回は、ペットの「老い」についてお話ししていきたいと思います。
昔と比べ、家庭で飼育される犬・猫に対する考え方は大きく変化してきました。
今や、家庭で飼育される犬・猫は「ペット」ではなく、大切な「家族」と認識されています。
とくに、子犬・子猫の頃から一緒に暮らしていると、まるで「我が子」のように考えている方も多いのではないかと思います。
我が子の寝顔に癒されますね。(飼い主さま提供お写真:てんちゃん)
そんな中、避けては通れないのが「老い」の問題・・・
犬や猫の寿命から換算すると、「犬・猫の1年は、ヒトの4~5年に相当する」と言われています。
いつのまにか、気付いたらシニア(高齢期)になっていた、という事も十分ありえます。
高齢化に伴って様々な病気が起きてくるのは人も動物も同じです。
今回は、そんな病気の中でも「認知機能不全」について考えていきたいと思います。
「老い」に伴って出てくる様々な症状
認知機能不全とは、「高齢期に認知機能が低下することで様々な行動障害を引き起こす症候群」のこと。
このままでは良く分からないので、より単純に分かりやすく言い換えると、表現は少し良くないですが「ボケてしまう」という事です。
出てくる症状は様々ですが、特によく相談される症状が「徘徊」「夜鳴き」「排泄の失敗」です。
とくに「夜鳴き」は大変で、自分たちが眠れなくなるのは言うまでもないですが、なかには大きな声で鳴いてしまうため近所迷惑になっているのではないかと気にされる方もいらっしゃいます。
対応策としては、
・サプリや食事といった認知機能の改善をうながすものを与える
・生活リズムを昼型に戻すため、なるべく日中起きるようにし、太陽の光を浴びさせる
・徘徊し、狭いところにはまり込んでしまうのを防ぐため、柔らかい素材のサークルを用意する
などがありますが、どれも決定的なものはありません。
とくに、サプリや食事は症状が軽度なうちから始める方が効果的ですが、明らかな認知機能不全の症状が出る頃にはかなり進行していることが多く、中々満足のいく効果が得られないことが多いです。
しょうがなく鎮静剤に頼らざるを得ないケースも少なくありませんが、これも使い続けるとだんだんと効きが悪くなってしまうため、根本的な解決にはつながっていきません。
「認知機能不全」も、ほかの病気と同じように大事なのは「予防」と「早期の治療」です!
ここからは認知機能不全で認められる症状について記載していきたいと思います。
認知機能不全の症状:DISHAAの6徴候
認知機能不全で見られる代表的な症状は6つあり、英語の頭文字をとってDISHAAの6徴候と呼ばれます。
1.見当識障害(Disorientation)
自分がいる場所や時間、目の前の相手が誰なのか分からなくなる症状です。
徘徊などは、これに当たります。
2.社会的交流の変化(Social Interaction)
家族や他の動物への関心が変化する症状です。
遊びなどに対するリアクションが減ったり、逆に極度に寂しがりになったりします。
3.睡眠・覚醒サイクルの変化(Sleep・Wake Cycle)
いわゆる「昼夜逆転」です。
夜の徘徊・夜鳴きがこれに当たります。
4.粗相したり、学習した事や記憶を忘れてしまう(Housesoiling、Learning And Memory)
言葉通り、排せつに失敗したり、今までできていたことができなくなる、といった症状です。
5.活動性の変化(Activity)
寝ている時間が増える、もしくは逆にウロウロと歩き回る、といった変化が出てきます。
6.不安(Anxiety)
眼や耳が聞こえなくなるなどの感覚機能が衰えたり、周囲の状況を把握する能力が低下することなどによって不安感が高まる可能性があります。
今回の話を聞いて気になった方へ!
どうでしょうか?
何となくイメージできるような気もするし、同じような事を言葉を変えて言っているだけなんじゃない、という感想をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思います(僕もです・・・)。
始めにもお話しした通り、大事なのは「予防」と「早期の治療」です!
まずはできるところから、始めていきましょう。
認知機能の低下を防ぐようなサプリメントを始めてみるもよし、年をとっても一緒に出来る遊びを始めてみるもよし(最近は色々な「知育玩具」が発売されています)、正解はないのですが、それぞれの飼い主様が良いと思ったことを始めるのが一番よいと思います。
うちの子もしかして、と思ったら「セルフチェック」を!
インターネットで検索すると、認知機能不全のセルフチェックが出来るサイトがいくつか出てきます。
気になる方は、ご自身が使いやすいと思ったもので一度チェックしてみても良いのではないでしょうか。
もちろん、動物病院のスタッフに相談してみる、というのも大事な方法です。
何時でもご相談をお待ちしております。
東千葉いこい動物病院
043-252-5055
飼い主さま提供お写真:テンちゃん