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外耳道切開術(耳道切除)について

2024.1.2
症例紹介

犬の耳の構造

犬の耳は外から鼓膜まで、極端に言えばL字の構造をしています。耳の手前の道を垂直耳道、鼓膜までを水平耳道といいます。

垂直耳道は外から軟骨が触ることのできる部分です。

この場所に腫瘤ができたり、慢性的な外耳炎で常に耳垢が貯留、耳道が腫脹することによって耳道内の環境が悪くなった場合、外側の軟骨を皮膚とともに切除することによって通気をよくすることができます。

これにより、洗浄や局所の薬剤投与も容易になります。耳道切開は外耳炎を治療しやすい状態へと導くきっかけになるのです。

慢性外耳炎

長期にわたって痒みや痛みを伴う慢性外耳炎の場合、定期的に耳の洗浄や耳垢の培養検査を行い、著効する薬剤を同定したとしても外用治療や内科治療にて効果が芳しくないのであれば、外科的に環境をよくすることによって症状の改善・緩和が見込めることがあります。

外科手術

外科的バリエーションとして、垂直耳道の軟骨の変形や閉塞が激しい場合は、ただ切開するだけでなく垂直耳道の切除も行います。さらに、病変が水平耳道まで及んでいる場合はその一部まで切除します。

そして、外耳道全域にわたって病変があれば全耳道切除術を行うことになります。

全耳道切除では鼓室胞(鼓膜から鼓室胞までを中耳といいます)にも穴を開け内張を除去する必要もあり、難易度は高くなります。

耳道の軟骨を除去する際、裏側に顔面神経が走行しているため傷つけると顔面神経麻痺を起こしてしまうので気を付けなければなりません。

すべての耳道を取り除いた後は当然ながら、耳の穴は無くなります。

最後に

薬で治るのに越したことはありませんが、このような手術も長い目で見れば大切な動物たちのストレスを軽減させることができるかもしれません。動物の慢性の外耳炎にお悩みの飼い主様は、一度獣医に相談してみてはいかがでしょうか。

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