緑内障や眼球損傷による破裂、腫瘍などによって眼球の温存が難しい場合に摘出手術を行うことがあります。
瞼を縫合して閉じるために、眼瞼とともに眼球を動かすための筋肉を切除し、
最後に視神経乳頭に接続する神経、血管を切断して摘出となります。
眼の筋肉について
眼球運動に関わっている筋肉は動眼神経支配の背側直筋、腹側直筋、内側直筋、腹側斜筋
滑車神経支配の背側斜筋、外転神経支配の概則直筋、眼球後引筋がありますが、薄い筋肉ですので剥離切断自体は安易なものになります。
こうしてみると目を動かすだけでも複数の神経によって複雑に制御されているのを実感します。
余談ですが、瞳孔が正面を向かない「斜視」は動眼神経、外転神経の麻痺が関与して起こります。
眼球の上下の変化は同じ動眼神経支配なので、麻痺が起こったとしてどちらかに引っ張られることはありません。
斜筋は眼球の回転に関わっています。丸い瞳孔の犬では見た目はわかりませんが、
猫は縦長なので、斜筋の麻痺による斜視・眼球の回転は視認することができます。
眼の病気も早期発見・早期治療を!
眼球摘出は、あらゆる眼の治療の最終手段となります。
角膜や眼球に損傷がないパターンの緑内障のような場合は摘出をせず、内科的にコントロールをしたり、シリコンボール挿入術を行うことのほうが多いでしょう。人の手術と手段は異なりますが、いわゆる義眼になります。
これならば正常な目とぱっと見ではわかりません。
眼の様子がいつもとおかしい様子があったらまずは受診をお勧めします。
外科治療、目の摘出になる前に点眼・内服で治せる病気は多くあります。まずは早期に対策をしましょう。