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不妊手術|男の子編(去勢手術)

2024.4.26
ブログ

千葉市、四街道市にお住いのみなさま、ブログを楽しみにしてくださっているみなさま、こんにちは。
汗ばむような日もあり、服装に悩む季節ですね。

さて、本日のブログは、男の子の不妊手術(去勢手術)についてです。

3月から公開しているブログで、女の子の不妊手術について書いていますので、男の子の場合についても書いてみます。

女の子の不妊手術(避妊手術)についてのブログはこちら

飼い主さま提供お写真:こぐまくん

オス犬・猫の不妊手術のメリット

当院では生後6カ月を過ぎたワンちゃん・ネコちゃんには男の子も女の子も不妊手術をおすすめしています。
なぜわざわざするのだろう?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

男の子のワンちゃん・ネコちゃんに去勢手術をおすすめする理由(メリット)には、以下のようなものがあります。

 

1. 望まない妊娠を避けられる

2. マーキングや攻撃行動を減少させることができる

・ネコちゃんの場合:
スプレー行為の抑制
喧嘩の抑制

・ワンちゃんの場合:
攻撃性の抑制
マウンティングなどの不適切な行為の抑制(去勢をすれば完全にしなくなるわけではありません)

3. 病気の予防

・潜在精巣の場合は精巣の腫瘍化リスクが上昇するため、さらに注意が必要となります。

・ワンちゃんの場合は、去勢手術によって精巣腫瘍、前立腺疾患、肛門周囲腺腫瘍、会陰ヘルニアの予防に効果があります。

これらの病気の予防については、このあと詳しくご説明します。

主な精巣の疾患について

以下に、早期の去勢手術により予防できる代表的な疾患をご紹介します。

◆潜在精巣

生後6カ月を過ぎても精巣がうまく陰嚢内に移動せず、お腹の中か鼠径部に精巣がとどまってしまう病気です。

潜在精巣のワンちゃんでは、陰嚢内にある正常な精巣と比べると精巣腫瘍の発生率が10倍ほどに増加すると報告されています。


◆精巣腫瘍


精巣腫瘍は加齢に伴って増加し、発症年齢の平均は10歳くらいです。

精巣腫瘍の種類にもよりますが、一般的には精巣が腫大、硬化するケースが多いです。

未去勢の場合は精巣の大きさの左右差に注意します。


◆前立腺疾患


未去勢の場合、前立腺肥大、前立腺炎、前立腺腫瘍の発症率が上昇します。

特に中年齢以降で発生することが多いです。

前立腺疾患の症状としては、血尿、しぶり、排尿痛があります。


◆肛門周囲腺腫、腺癌


主に肛門周囲の毛のないところに腫瘍が発生する病気です。

この疾患も中年齢以降に多く認められ、腺癌の場合は成長が早く潰瘍も起きやすいのが特徴です。

◆会陰ヘルニア

雄性ホルモンの影響でお尻の筋肉が萎縮しヘルニアが起きてしまう病気です。

中年齢以降に発生しやすく直腸や膀胱が脱出すると排便、排尿障害を引き起こしてしまいます。

オス犬・猫の不妊手術のデメリット

不妊手術にはメリットばかり・・・というわけではなく、女の子の場合と同様、男の子の不妊手術においてもデメリットがあります。

このあとに記載したデメリットもふまえて検討して頂ければと思います。(デメリットの内容は女の子の場合とほぼ同じです。)

1.子供が残せない

精巣を摘出するため、その後の繁殖はできません。

2.太りやすい体質になる

性ホルモンに使われていた消費エネルギーが減る為、太りやすい体質に変わっていきます。

3.術中・術後のリスク

苦痛なく、安全に手術を行う上で欠かせないのが全身麻酔です。心拍や血圧、呼吸といった活動を抑制するので、リスクもゼロではありません。一般的には手術前に全身のスクリーニング検査を実施し、身体に大きな異常がないか確認して手術を実施するので、若齢のワンちゃんネコちゃんで問題になることはほとんどありません。

去勢手術で気を付けたいこと

術後の体重管理

消費エネルギーが減るため、手術前と同じ量のフードでは体重増加につながる可能性があります。

そのため、術後にはフード量の調整やフードの種類の見直しが必要になる場合があります。

術後はご自宅でもこまめに体重を計測し、急な増加があれば早めに動物病院にご相談ください。
飼い主さまがワンちゃん・ネコちゃんを抱っこした状態で体重計に乗って、その計測結果から飼い主さまだけの体重を引くと、ワンちゃん・ネコちゃんの体重を簡単に測ることが出来ます。

去勢手術の流れ|術前検査

手術一週間前~手術前日の間にご来院いただいて行う検査です。
12時間以上の絶食(お水は可)をしてご来院いただきます。

●血液検査

手術を行うにあたり、貧血や血小板の検査、肝臓や腎臓など数値の確認を行います。また、必要に応じて猫エイズ/猫白血病ウイルス検査、犬フィラリア抗原検査をおすすめすることもあります。

●胸部レントゲン

心臓の大きさや、肺の異常の有無を確認します。

去勢手術の流れ|手術当日

当日は12時間以上の絶食をしたうえでご来院いただきます。

ワンちゃん・ネコちゃん共に全身麻酔での手術ですが、方法が異なるため所要時間にも差があります。

ワンちゃんの場合:
陰茎と陰嚢の間の皮膚を2センチほど切皮し、精巣を露出させ摘出し皮膚を縫合します。
所要時間はおよそ20分です。

ネコちゃんの場合:
陰嚢を直接切開して精巣を摘出し、縫合はありません。
所要時間はおよそ10分です。

マイクロチップの装着をしていないワンちゃん・ネコちゃんには、不妊手術が終わったタイミングでマイクロチップの装着をご提案をしています。

術後は麻酔を外してしばらくで意識が戻りますが、まだ体は思うように動かせない状態です。
ワンちゃんの場合は縫合をしているため、縫合糸を取ってしまったり傷口を舐めてしまわないよう、エリザベスカラーを着けたり、術後服を着せたりします。

去勢手術の流れ|翌日以降

基本的には、ワンちゃんは入院(一泊)をしていただきますが、ネコちゃんは手術当日に帰ることが可能ですので、術後の状態を診てお迎えに来ていただきます。

ワンちゃんの抜糸は術後10~14日を目安にご来院いただき、麻酔をすることなく診察室で糸を外します。

抜糸が済むまで術後に装着したエリザベスカラーや術後服は外さずそのまま過ごさせましょう。

エリザベスカラーはサイズ豊富。大きすぎると外れてしまうのでちょうど良いサイズを選んで装着させます。

術後服は袖ありタイプと袖なしタイプがあります。(写真は袖ありタイプ)

最後に

不妊手術は男の子の場合も女の子の場合も飼い主さまにとっては不安に感じられることもあると思いますが、男の子ならではの問題行動は飼い主さまのストレスになることもあります。
ここまで書いてきた通り、早期の去勢手術によって予防できる疾患がありますし、未去勢が他疾患に影響を及ぼすこともありますので、適切なタイミングでの去勢手術をご検討ください。

当院では不妊手術に関するご相談も受け付けておりますので、タイミングを迷っていらっしゃる方もお気軽にお問い合わせください。

ネット予約では一般診療の枠でご予約いただき、備考欄に「不妊手術の相談」などご入力いただくとスムーズです。ネット予約はこちらから。

飼い主さま提供お写真:リッキーくん

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