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不妊手術|女の子編(避妊手術)

2024.3.30
ブログ

千葉市、四街道市にお住いのみなさま、ブログを楽しみにしてくださっているみなさま、こんにちは。
暖かくなってきましたね。

本日のブログは、女の子の不妊手術(避妊手術)について書こうと思います。

というのも、昨年9月に当院スタッフのご家族によって拾われ、執筆者(私)の家に迎えた子猫の牛乳ちゃんが、この3月で生後6カ月齢に。先日避妊手術を受けたので、そのレポートも兼ねて不妊手術についての情報発信ができればと思っております。

牛乳ちゃんとの出会いはこちら、実録2~4週実録5~9週

避妊手術を終えた現在の牛乳ちゃん。生後6カ月

メス犬・猫の不妊手術のメリット

当院では生後6カ月を過ぎたワンちゃん・ネコちゃんには不妊手術をおすすめしています。
なぜわざわざするのだろう?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

不妊手術をおすすめする理由(メリット)には、以下のようなものがあります。

 

1. 望まない妊娠を避けられる

 

2. 発情期のストレスや発情出血(犬)がなくなる

・ネコちゃんの発情期の鳴き声の軽減。
・ワンちゃんの発情出血や発情が見られなくなります。

 

3. 病気の予防

・避妊手術では、卵巣と子宮を同時に摘出するため、子宮や卵巣に起因する疾患を予防することができます。

・避妊手術の有無やその時期は、性ホルモン(エストロゲン)の関連が示唆されている乳腺腫瘍の発生率にも影響します。

これらの病気の予防については、このあと詳しくご説明しようと思います。

子宮卵巣の病気について

子宮卵巣疾患のうち、代表的なものは「子宮蓄膿症」になります。

子宮蓄膿症は、未避妊のワンちゃんで認められる、子宮内に細菌が増殖し膿がたまる病気です。

若齢でも発症することはありますが、多くは6歳頃~シニア期にかけて見られます。発症と産歴にも関連があると言われており、とくに未経産のワンちゃんで発症しやすい病気です。
ネコちゃんも同様に発症する可能性はありますが、ワンちゃんより遭遇するケースは多くないです。

発症した場合は亡くなる可能性がありますが、避妊手術によって確実に予防出来る病気になります。

予防できる子宮卵巣の病気:子宮蓄膿症、子宮水腫、卵巣嚢腫、卵巣腫瘍 等

乳腺腫瘍発生率との関係について

もう一つの代表的な病気は「乳腺腫瘍」になります。

初回発情前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生率がより低下するといわれており、2回目以降であっても早いほど発生率は低いというデータがあります。

《ワンちゃんの発生予防率》

初回発情前の避妊手術で99%乳腺腫瘍の発生を抑制できます。また1回目の発情後は約90%、2回目の発情後では約70%と予防率は低下してしまいます。

避妊を検討されている際は、初回発情が来る前に実施する方が良いでしょう。

《ネコちゃんの発生予防率》

生後半年齢で約90%の確率で乳腺腫瘍の発生を抑制できます。1歳齢までに手術を行うと約80%に低下します。

万が一乳腺腫瘍が発生した場合、ワンちゃんでは50%が悪性、ネコちゃんでは90%以上が悪性といわれています。

予防できる乳腺の病気:乳腺腫瘍、乳腺炎

メス犬・猫の不妊手術のデメリット

さて、ここまでメス犬・猫に不妊手術をおすすめする理由を書いてきましたが、もちろんデメリットもあります。このあとに記載したデメリットもふまえて検討して頂ければと思います。

1.子供が残せない

卵巣子宮を摘出するため、その後の繁殖はできません。

2.太りやすい体質になる

性ホルモンに使われていた消費エネルギーが減る為、太りやすい体質に変わっていきます。

3.失禁

避妊手術を受けると性ホルモン分泌は減少し、外尿道括約筋が薄く弱くなります。メスのワンちゃんでごく稀ではありますが、その影響で尿失禁を呈することがあります。

4.術中・術後のリスク

苦痛なく、安全に手術を行う上で欠かせないのが全身麻酔です。心拍や血圧、呼吸といった活動を抑制するので、リスクもゼロではありません。一般的には手術前に全身のスクリーニング検査を実施し、身体に大きな異常がないか確認して手術を実施するので、若齢のワンちゃんネコちゃんで問題になることはほとんどありません。

 

 

余談ですが、我が家の牛乳ちゃんは、病院では大変凶暴化しエリザベスカラーの装着を全力で拒絶したため、術後服を装着させて過ごしました。
慣れない服の着用で、動きづらさは多少あったのでしょう。術後服を着用してからやんちゃが収まったので避妊により性格が少し穏やかになったのかも!と期待しましたが、抜糸を済ませ術後服を脱がすと手術前のやんちゃぶりが戻っていました・・・。
術後服装着により生活に支障が出ていたか?と本人(本猫)に聞けば「yes」と答えるのかもしれません。

術後服の着心地は?「・・・」

避妊手術で気を付けたいこと

1.発情中の手術

特にワンちゃんの場合、発情期は血管が発達しており、出血のリスクが高まります。発情を認めた場合は2カ月間ほどの期間をあけてからの手術を推奨させていだだくこともあります。

2.術後の体重管理

消費エネルギーが減るため、手術前と同じ量のフードでは体重増加につながる可能性があります。

そのため、術後にはフード量の調整やフードの種類の見直しが必要になる場合があります。

術後はご自宅でもこまめに体重を計測し、急な増加があれば早めに動物病院にご相談ください。
飼い主さまがワンちゃん・ネコちゃんを抱っこした状態で体重計に乗って、その計測結果から飼い主さまだけの体重を引くと、ワンちゃん・ネコちゃんの体重を簡単に測ることが出来ます。

避妊手術の流れ|術前検査

手術一週間前~手術前日の間にご来院いただいて行う検査です。
12時間以上の絶食(お水は可)をしてご来院いただきます。

●血液検査

手術を行うにあたり、貧血や血小板の検査、肝臓や腎臓など数値の確認を行います。また、必要に応じて猫エイズ/猫白血病ウイルス検査、犬フィラリア抗原検査をおすすめすることもあります。

●胸部レントゲン

心臓の大きさや、肺の異常の有無を確認します。

避妊手術の流れ|手術当日

当日は12時間以上の絶食をしたうえでご来院いただきます。

女の子の場合は、一般的にお腹をあける開腹手術で行います。体格にもよりますが、お腹にあるおへその下あたりを3~5センチほど切皮し、開腹、卵巣子宮を取り出した後、閉腹します。

全身麻酔での手術、所要時間はおよそ1時間ほどです。

マイクロチップの装着をしていないワンちゃん・ネコちゃんには、閉腹後のタイミングでマイクロチップの装着をご提案をしています。

術後は麻酔を外してしばらくで意識が戻りますが、まだ体は思うように動かせない状態です。
術創は縫合糸をかけているため、縫合糸を取ってしまったり傷口を舐めてしまわないよう、エリザベスカラーを着けたり、術後服を着せたりします。

手術後、思うように動けないのに怒ってにらんでいます。背後には拒絶して外したエリザベスカラーが。

避妊手術の流れ|翌日以降

基本的には一泊入院していただき、翌朝の状態を確認してからお迎えに来ていただきます。

抜糸は術後10~14日を目安にご来院いただき、麻酔をすることなく診察室で糸を外します。

抜糸が済むまで術後に装着したエリザベスカラーや術後服は外さずそのまま過ごさせましょう。

手術後18日(抜糸後8日)の傷跡。小さくて目立ちません。稗田先生ありがとうございます!

最後に

不妊手術は全身麻酔での実施になるので、不安に感じられるところもあると思います。
しかし子宮蓄膿症などの病気になってから行う手術はかなりのリスクを伴い、また合併症も起こる可能性もあります。未避妊が他疾患に影響を及ぼすこともありますので、適切なタイミングでの避妊手術をご検討ください。

当院では不妊手術に関するご相談も受け付けておりますので、タイミングを迷っていらっしゃる方もお気軽にお問い合わせください。

ネット予約では一般診療の枠でご予約いただき、備考欄に「不妊手術の相談」などご入力いただくとスムーズです。ネット予約はこちらから。

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