千葉市、四街道市にお住いのみなさま、ブログを楽しみにしてくださっているみなさま、こんにちは。
今回のブログで取り上げている『甲状腺機能亢進症』は、猫、特にシニア期の猫によく認められる病気です。
そのため、老化による症状と誤解される事が起こりやすい内分泌疾患です。この病気は甲状腺ホルモンの過剰分泌により引き起こされ、猫の全身に多様な症状をもたらします。
今回は、猫の甲状腺機能亢進症について、その原因症状、治療方法などを解説します。
原因
甲状腺機能亢進症は、その名の通り甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こります。
甲状腺ホルモンは身体の代謝を促進するという重要な機能を持っており、これが過剰に分泌されると、体温が上がる、心拍数が上昇する、血圧が上昇する、ご飯を食べているのに痩せてしまう、など、全身の代謝が異常に活発になることで様々な症状が引き起こされます。
また、心拍数の上昇や高血圧といった状態は心臓や腎臓などの臓器にも影響を与え、心疾患や腎疾患を悪化要因となるため注意が必要です。
猫の肥大型心筋症についてはこちらのページで解説しています
甲状腺ホルモンが過剰に分泌してしまう主な原因としては、甲状腺の結節性過形成や腺腫、稀に腺癌が挙げられ、甲状腺細胞の異常な増殖によって引き起こされます。
また、遺伝的な要因、食事、環境などが関連している可能性もありますが、発症の正確な原因はまだ完全には解明されていません。
症状
甲状腺機能亢進症の症状は多岐にわたります。最も一般的な症状は、食欲旺盛にもかかわらず体重が減少してしまうことです。
他にも、活動性の亢進、多飲多尿、下痢や嘔吐などの消化器症状、毛並みの劣化、心拍数の増加や高血圧、甲状腺の腫れなどが見られます。
また、甲状腺機能亢進症は体力を激しく消耗させるため、結果として全身の衰弱を引き起こすことがあります。老化の影響と誤解されてしまうこともあり、見落とされることも少なくありません。
診断方法
甲状腺機能亢進症は病気を特定できるような特徴的な症状がほとんど現れません。
問診で先に述べた症状が見られた場合、身体検査、血液検査、およびエコー検査を行います。
血液検査では血中の甲状腺ホルモン(特にサイロキシン:T4)の濃度を測定し、通常より高い値が示された場合、甲状腺機能亢進症が疑われます。初期や軽度の場合、検査で正常値が出ることもあるため、繰り返し検査が必要な場合もあります。
また、エコー検査では甲状腺の大きさや形状を確認します。
治療方法
甲状腺機能亢進症の治療には、主に内科治療、外科治療、食事療法があります。
内科治療では甲状腺ホルモンの生成を抑制する薬を投与しますが、一生涯にわたる治療が必要になることがあります。
外科治療は、腫大した甲状腺を摘出することで症状を改善させますが、過剰に生成されていた甲状腺ホルモンの産生が突然止まるため、一時的に甲状腺ホルモンを内服する必要があります。
また、食事療法では甲状腺機能亢進症用の療法食を使って、甲状腺ホルモンの主成分となるヨウ素を制限する場合もあります。
治療方法は、猫の年齢、健康状態、および病状によって選択が変わってきます。
予防法やご家庭での注意点
甲状腺機能亢進症の発生を予防する方法は現在のところ存在しませんが、定期的な健康診断による早期発見が重要となります。
特に7〜8歳を超えた猫には、半年に一度の血液検査を含む全身的な健康診断が推奨されます。
また、飼い主様は猫の食欲、体重、行動パターンなどを注意深く観察し、異常に気づいた場合はかかりつけの獣医師に相談しましょう。
まとめ
猫の甲状腺機能亢進症は、特に高齢の猫に多く見られる病気です。多様な症状を引き起こすため、正確な診断と適切な治療が必要です。
早期発見と治療により、愛猫の生活の質は大きく改善されるため、飼い主様の注意深い観察と定期的な健康診断が鍵となります。
甲状腺機能亢進症について理解を深め、必要なケアを施すことで、愛猫と飼い主様がより快適な生活を送れるでしょう。
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