犬の息切れと聞いて、どんな症状をイメージすることが出来ますか？
私たち人間も、走ると息が切れますよね。犬も同じで、お散歩やドッグランで運動すると「ハッハッハッ」と息が荒くなりますが、これが息切れです。
こうした息遣いの変化は普通の疲れの場合もありますが、心臓病が原因になっていることもあります。

今回は犬の息切れと心臓病の関係について、特に普通の疲れとの違いをどう見分けるかに焦点を当てて解説します。

　

犬の正常な呼吸と息切れの基礎知識

犬も私たちと同じように、息を吸って酸素を取り込み、息を吐いて二酸化炭素を排出しています。
特に運動するときには体がたくさんの酸素を必要とするため、呼吸が早くなりがちです。そのため、お散歩やドッグランで遊んだ後に「ハッハッハッ」と息を荒くするのは普通のことです。

ただ、こうした息切れがいつもと違うと感じたら、心臓に問題がある可能性も考えられます。

心臓病による息切れの特徴

心臓病による息切れは、通常の運動によるものとは異なります。
肺から取り込んだ酸素は血液中の赤血球によって全身に運ばれますが、心臓病ではこの過程に問題が生じます。
心臓の収縮力が弱まったり、血液がうまく全身に運ばれなくなったりするため、体の細胞に十分な酸素が届かなくなります。
この酸素不足を補うために、呼吸の回数が増えて息切れを起こすのです。

それ以外にも、心臓病と関連して肺水腫を発症すると、肺からの酸素の取り込みがうまくいかなくなり、息切れを起こしやすくなります。
さらに息切れだけでなく、咳や食欲不振といった他の症状が現れることもあります。

正常な疲れと心臓病による息切れの見分け方

＜回復時間や持続時間＞

普通の疲れによる息切れは、運動後しばらく休むと自然に治まります。しかし、心臓病による息切れは休んでもなかなか治まらず、長く続くことがあります。

＜発生状況＞

心臓病の場合、激しい運動をしていないときでも息切れが見られることがあります。特に安静時に息切れが見られる場合は注意が必要です。

＜呼吸の質＞

普通の疲れであれば浅い呼吸が多いですが、心臓病の場合「ハーッハーッハーッ」と深く息を吸い込むような呼吸が見られ、肩で息をするような様子が特徴的です。

心臓病による息切れを疑うべき状況

以下のような様子が見られたら心臓病が疑われるため、早めに動物病院を受診しましょう。

・軽い運動でも息切れする
・夜間に突然息切れする
・横になると息切れが悪化する
・通常の活動を避けるようになる
・息切れの後に気を失うことがある

検査と診断方法

心臓病が疑われる場合、まずは聴診器で心音を確認します。心臓の音に異常がある場合、心臓病の可能性があります。

その後、詳細な診断のためにレントゲン検査、心臓超音波検査、血液検査を行います。特に血液検査では、NT-proBNPという数値を測定し、心不全の有無を確認します。

予防と管理

心臓病の予防は難しいですが、定期的な健康診断で早期発見・早期治療を行い、愛犬ができるだけ長く健康でいられるようサポートすることが重要です。

また、心臓に負担をかけないように、バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。さらに、たくさんのスキンシップを取り、ストレスを減らす環境を整えることも大切です。

まとめ

普通の疲れによる息切れは運動後すぐに浅くて速い呼吸が見られますが、心臓病の場合は軽い運動でも息切れが起こり、なかなか元の呼吸に戻らないことが特徴です。

また、病気の悪化を最小限にするには、早期発見・早期治療が重要ですので、定期的に動物病院で健康診断を受けて、愛犬の健康を守りましょう。

当院では2023年8月より「獣医学博士・獣医循環器認定医」をチームに迎え、心臓病で苦しむ愛犬や愛猫のための循環器外来を設けております。循環器外来は予約制となりますので、下記のページからご予約の上ご来院ください。

東千葉いこい動物病院の循環器外来について

 

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